プライベート・ライアンという戦争映画があった。
冒頭の戦闘シーンで、いきなりグロテスクなシーンがある。
肩から先を爆風で飛ばされ、
オロオロする兵士が、自分の右腕を見つけて拾い上げるのだ。
実は私も同じような体験をしたことがある。
もう一度言う。
私も同じような体験をしたことがある。
高校生のある夏の朝だった。
朝起きると右腕から先がなくなっていた。
狼狽えながらも私は、直ちに捜索隊を募集した。
ためらいながらも名乗り出た左腕に、
自分の右腕を探すという任務を授けて出発させた。
捜索隊が右肩の辺りにたどり着くと、そこで切れているわけではなかった。
何やら柔らかいものがあらぬ方向に続いている。
なんと、右肩から先の部分は、私の頭の後ろに入り込んでいたのだ。
後に整形外科で知ったことだが、私の両肩は「亜脱臼」といって、
元々少しユルイらしい。
だから、肩のストレッチをすると、
肘が頭の後ろに入り込むくらい柔らかい。
(信じられない方には、お会いした際にお見せしよう)
何時間か知らないが、頭の重みで痺れ、完全に感覚を失っていたのだ。
読者諸君がそんな時でも慌てないよう、お伝えする。
あなたの右腕は、あなたが思っているよりも重く、温かい。